サステナビリティ開示は、今期から義務になる会社がある。経理は子会社から何を集めるのか

2027年3月期。

この期が、サステナビリティ開示の義務の一年目という会社があります。時価総額3兆円以上のプライム上場企業です。2026年1月に公表された、金融審議会の作業部会の報告で示されました。

サステナビリティの話は、経理には遠いものに見えるかもしれません。けれども、集め方を見ると、経理になじみのある仕事です。

いつから、誰に義務になるのか

報告では、プライム市場の上場企業に、時価総額の大きい順から義務を広げていきます。

時価総額 SSBJ基準の適用
3兆円以上 2027年3月期から
1兆円以上3兆円未満 2028年3月期から
5千億円以上1兆円未満 2029年3月期から

時価総額は、前期末から遡って過去5事業年度の末日の平均で判定します。5千億円未満の会社は、今後検討とされています。

開示を求める先は、有価証券報告書です。統合報告書やウェブサイトではなく、決算書と同じ法定の書類に載ります。

翌期からは、保証が付く

もう一つの柱が、第三者による保証です。

報告では、開示の義務が始まった翌年から、保証を義務にするとしています。3兆円以上の会社なら、2028年3月期からです。保証の範囲は、当初2年間は限られます。

保証をする者は、登録制になります。監査法人も、監査法人以外も、要件を満たせば登録できます。

保証が付くということは、数字の裏付けを外から確かめられるということです。どこから集めた数字か、誰が確かめたか。財務の数字と同じ説明が求められます。

集め方は、連結決算パッケージと同じ

サステナビリティの数字も、グループ全体で集めます。

たとえば温室効果ガスの排出量です。親会社だけでなく、子会社の工場や事務所の分も集めて足し合わせます。海外の子会社なら、言葉も単位も違います。

これは、連結決算パッケージの記事で書いたのと同じ構図です。子会社の担当者による理解の差が出る。どこまで様式を作り込むかで迷う。集め漏れは後から取り返しにくい。

財務以外の数字は、思った以上にそろいません。連結パッケージで従業員数を集めていたときも、そうでした。

期末日付けで退職する人を、期末の人数に入れるのか。パートやアルバイトなど臨時の従業員を、何人と数えるのか。1日8時間で1人と換算するのか。有報の「設備の状況」に載せる人員と、「従業員の状況」の人数は合っているか。

単純に見える数字でも、定義を決めて様式に書いておく必要があります。そうしないと、子会社ごとに数え方が変わります。温室効果ガスの数字は、これよりずっと定義が細かくなります。

経理が先に確かめておきたいこと

担当はサステナビリティの部署でも、経理が関わる場面は多いと考えます。

  • 集める範囲は、連結の範囲と合っているか。期中に買った会社や売った会社の扱いは決まっているか
  • 子会社への依頼は、連結パッケージと別に出すのか、パッケージに欄を足すのか
  • 有価証券報告書の締め切りに、数字の集計が間に合うか
  • 保証に備えて、数字の出どころと確認の記録を残しているか

報告では、適用から2年間は二段階の開示を認めるとしています。有価証券報告書を出したあとに、訂正の形で載せてよい、という経過措置です。それでも、保証が始まる翌期には、集める仕組みが固まっている必要があります。

来期の連結パッケージに、欄は増えるか

3兆円以上の会社では、今期の期末の決算と、サステナビリティの集計が重なります。

翌期からは、1兆円以上の会社が続きます。そのとき、連結パッケージに温室効果ガスの欄が並ぶのか。それとも、別の仕組みで集めるのか。子会社に依頼を出すのは、経理か、サステナビリティの部署か。会社ごとに答えが分かれていると思います。