「パッケージって何ですか」
経理の部署にいても、最初はそういう状態でした。連結決算パッケージという言葉を聞いても、何のことか分からなかったのです。
その後、子会社でパッケージに入力して出す側になりました。さらに後には、親会社でパッケージを作って配る側に回りました。作る側になって、はじめて分かったことがあります。
連結決算パッケージとは
連結決算パッケージは、親会社が子会社から決算の情報を集める様式です。
連結財務諸表は、各社の決算を足し合わせ、グループの中の取引を消して作ります。そのためには、各社の数字を同じ形でそろえて集める必要があります。それを担うのがパッケージです。
中身は、会社によって違います。よくあるのは次のような項目です。
| 項目 | 何に使うか |
|---|---|
| 貸借対照表・損益計算書 | 各社の数字を合算する |
| グループ会社との取引と債権債務 | グループの中の取引を消す。相手先と金額が合うか照らす |
| 固定資産やのれんの増減 | 増減の明細や注記を作る |
| 税金と税効果の情報 | 連結での税金の計算と注記 |
| 注記のための情報 | リース、関連当事者、後発事象など |
四半期と期末で、パッケージは違う
パッケージは一種類ではありません。四半期と期末で、別の様式を使います。
四半期のパッケージは、四半期の決算に要る数字に絞ります。期末は、有価証券報告書の注記に要る情報まで集めます。そのぶん、分量がぐっと多くなります。
子会社の担当者にとっても、期末は一年でいちばん重い提出です。四半期では見なかった欄が、期末にだけ出てきます。
入力する側だったころ
子会社で入力していたころは、欄を埋めることが仕事でした。
この欄の数字が、親会社でどう使われるのか。そこまでは考えていませんでした。期限までに埋めて出せば終わり、という感覚です。
作る側になって、わかったこと
親会社でパッケージを作る側に回って、見え方が変わりました。
パッケージの一つひとつの欄には、使い道があります。グループの中の取引を消すため、注記を書くため、セグメントの数字を作るため。使い道から逆算して、欄が置かれています。
入力する側からは、この使い道が見えません。作る側が使い道を考えずに欄を置くと、集まった数字が使えないことが起きます。
子会社の担当者による理解の差
もう一つ気づいたのは、子会社の担当者による理解の差が大きいことです。
同じ様式を配っても、読み方は人によって違います。経理の経験が長い人もいれば、ほかの仕事と兼務で決算を見ている人もいます。海外の子会社なら、言葉や会計の基準の違いも加わります。
同じ欄に、ある会社は税抜きで、別の会社は税込みで入れてくる。「該当なし」と書く会社と、空欄のまま出す会社がある。様式が同じでも、集まる数字の意味はそろいません。
どこまで作り込むかが、意外と大変
理解の差を埋めようとすると、パッケージを作り込みたくなります。
記入例を付ける。入力の規則やチェックの式を入れる。マニュアルを厚くする。どれも効き目はあります。ただ、作り込むほど別の問題が出てきます。
| 作り込みの度合い | 起きること |
|---|---|
| 薄い | 子会社からの問い合わせが増える。集まった数字の意味がばらつき、連結担当が後から聞き直す |
| 厚い | 様式が重くなり、子会社の負担が増える。基準が変わるたびの直しも大きくなる。考えずに埋める人も出てくる |
どこで線を引くかに、正解はありません。子会社の数や担当者の顔ぶれを見ながら、期ごとに少しずつ直していくことになります。
集め漏れは、あとから取り返しにくい
作り込みの加減に迷っても、外せないことがあります。必要な情報は、パッケージで集めておくことです。
決算が締まったあとで、子会社に聞き直すのは大変です。担当者が替わっていることもあります。海外なら、時差や休暇も重なります。開示の締め切りが迫るなか、連結担当が困ることになります。
とくに気をつけたいのは、基準が変わる年です。新しいリース会計基準は、2027年4月1日以後に始まる事業年度から適用されます。借りているオフィスや設備の契約の情報を、子会社から集め直す必要が出てきます。パッケージの直しは、その前に済ませておきたいところです。新しいリース基準については、リースの残価保証の記事にも書きました。
前期の質問を見返してください
パッケージを作る立場なら、前期の期末に子会社から来た質問を見返してください。
同じ欄について、何社からも質問が来ていないか。そこが、記入例を足すか、欄の作りを直すべき場所です。
