借方と貸方を、逆に入れていました。
仕訳の入力ミスです。金額は正しい。科目も正しい。向きだけが逆でした。
逆にしたのは、連結調整仕訳でした。気づいたのは、締めたあとの分析の段階です。数字の動きを見ていて、自分で気づきました。
困ったのは、損益に影響する仕訳だったことです。その時点で、連結の速報値はもう報告していました。修正がある旨を、追加で報告することになりました。
貸借の取り違えは、初歩的なミスに見えます。けれども、とくに連結調整仕訳では、経験を積んでも起こりえます。
逆に入れると、差は2倍になる
貸借を逆にすると、ずれは金額の2倍になります。
100の仕訳を逆に入れたとします。本来は借方に100載るはずの科目が、貸方に100載ります。正しい状態から見ると、200ずれています。
逆に言えば、照合で差が出たら、差の半分の金額の仕訳を探します。取り違えが見つかることがあります。差が200なら、100の仕訳です。
システムのチェックでは見つからない
会計システムは、借方と貸方の合計が一致しないと仕訳を受け付けません。
けれども、貸借を丸ごと逆にした仕訳は、合計がきちんと一致します。システムから見れば、正しい仕訳です。だから、入力の段階では誰も止めてくれません。
見つかるのは、残高がおかしいと気づいたときです。
連結調整仕訳は、なぜ間違えやすいのか
個別の会社の仕訳は、取引の流れと結びついています。売ったら売上、払ったら現金が減る。向きを感覚でつかめます。
連結調整仕訳は違います。各社の決算書に載っている数字を、消したり、振り替えたりする仕訳です。元の仕訳の逆を考えないと、向きが決まりません。
たとえば、グループの中の売上と仕入を消す仕訳です。親会社は売上を貸方に、子会社は仕入を借方に計上しています。消すには、売上を借方に、仕入(売上原価)を貸方に入れます。頭の中で一度ひっくり返す必要があります。
前期までの調整仕訳を引き継ぐときは、損益の科目が利益剰余金に置き換わります。非支配株主の持分に分ける仕訳、税効果を付ける仕訳も重なります。向きを考える場面が、個別の仕訳より多いのです。
対策は、違う角度からのチェックと検算
この失敗のあと、対策として決めたことがあります。仕訳を入れたあとに、違う角度から確かめること。そして検算することです。
入れた仕訳を、同じ目で見直しても、取り違えには気づきにくいものです。入れたときと同じ思い込みで読んでしまうからです。だから、仕訳そのものではなく、結果のほうを見ます。たとえば、次のような角度です。
| 確かめる場所 | 正しければこうなる |
|---|---|
| グループの中の売上と仕入を消したあと | 消した相手の科目の残高が、その分だけ減っている |
| 債権と債務を消したあと | グループ会社に対する売掛金と買掛金が、連結後に0になっている |
| 前期から引き継いだ調整仕訳 | 前期の仕訳と、科目ごとの向きが同じ |
| 照合で差が出たとき | 差の半分の金額の仕訳がないか |
一行ずつ仕訳を見直すより、消したはずのものが消えているかを見る。そのほうが、取り違えに気づきやすいと考えます。
当期の消去仕訳の向きを、一度見てください
連結を担当しているなら、当期の連結調整仕訳の一覧を開いてみてください。
グループの中の売上と仕入を消す仕訳で、売上が借方に入っているか。そこが逆なら、連結の売上は消えるどころか増えています。
