M&Aを「数字の物語」に変えるPPAの重要性とは?

① PPAとは何をする手続なのか
M&A会計において、PPA(Purchase Price Allocation:取得原価の配分)はとても重要なプロセスです。
PPAとは、M&Aで支払った対価を「何にいくら払ったのか」という視点で、取得した資産・負債に適切に振り分ける手続です。
ここを丁寧に行うことで、のれんと識別可能な無形資産(顧客関係、商標、技術など)を切り分け、買収の実態を財務諸表に反映できます。
② 買収後の損益に直結するPPAの影響
PPAの結果は、その後の損益にも大きく影響します。
無形資産として認識されれば償却費が発生し、のれんとして残れば減損テストの対象になります。
つまり、PPAは「買収直後だけの作業」ではなく、買収後の業績管理や投資回収のストーリーにも直結する重要な判断を含んでいます。
③ 事業価値を言語化するプロセス
また、PPAを通じて事業の価値ドライバーが可視化される点も見逃せません。
なぜその企業に価値があるのかを説明できるようになることで、経営判断や投資家説明の質も高まります。
M&Aを単なる取引で終わらせず、成長につなげるために、PPAは欠かせない会計プロセスと言えるでしょう。