親会社の売上は100、子会社の仕入は95。
グループ会社どうしの取引を照らし合わせると、こういう差がたいてい出てきます。同じ取引のはずなのに、売った側と買った側で数字が合わないのです。
計上の基準が違うために、毎回、差が出る会社もあります。それでも、その差がその原因だけで説明できるのかは、毎回確かめています。
差が出る理由と、照合で何を見ているかを書きます。
なぜ合わせる必要があるのか
連結財務諸表は、グループ全体を一つの会社として見た決算書です。グループの中での売り買いは、外から見れば社内の移動にすぎません。
そこで、連結会社どうしの取引高は消します(連結会計基準第35項)。売掛金と買掛金のような債権と債務も消します(同第31項)。
消すためには、両側の数字が一致している必要があります。売った側の売上100と、買った側の仕入95を消すと、差の5が宙に浮きます。この5が何なのかを突き止めるのが、照合の仕事です。
差が出る、よくある原因
原因は、だいたい決まっています。なお、消費税は税抜きで処理するのが基本です。税込みと税抜きの混在は、ここでは問題になりません。
| 原因 | 起きること |
|---|---|
| 計上する時期 | 売った側は出荷した時、買った側は受け取った時に計上する。月末に輸送中の品があると、片方にしか載らない |
| 為替 | 外貨建ての取引で、両社が別の日の為替レートで換算している |
| 勘定科目 | 売った側は売上、買った側は固定資産や経費に計上している。照合の表で、比べる行がずれる |
| 決算日 | 子会社の決算日が親会社と違い、その間の取引が片方にしか入っていない |
| 単純な誤り | 相手先の会社コードの付け間違い、計上の漏れ |
決算日が違う子会社は、差が3か月以内なら子会社の決算をそのまま使えます。ただし、その間の取引で重要な食い違いがあれば整理します(同第16項、注4)。
照合で見ていること
照合は、決算のときにまとめて行います。月中にはしません。決算で計上するものもあるからです。月中に一度合わせても、決算で集計し直す二度手間になります。
そのうえで、見ていることは四つです。
一つめは、毎回差が出る会社の、差の中身です。計上の基準が違う会社は、毎回差が出ます。「いつもの差」で片付けると、別の原因が紛れ込んでいても気づけません。差のうち、計上の基準の違いで説明できる額を出し、残りがないかを確かめます。
二つめは、貸付金・借入金と利息です。ここは1円まで合わせます。金額も利率も、契約で決まっています。両社が正しく計算していれば、ずれるはずがありません。合わなければ、どちらかの誤りです。
三つめは、パッケージで相手先別に集めることです。どの会社に、どの科目で、いくら。この明細が子会社から届かなければ、照合は始められません。連結決算パッケージの記事で書いたとおり、集め漏れは後から取り返しにくいのです。
四つめは、どこまでの差なら追わないかです。売り買いの取引は、小さな差まで全部追うと締めに間に合いません。金額の目安を決め、それを超える差だけを追います。
消し残しは、利益の誤りになる
照合が合わないまま消すと、どうなるか。
取引高の差は、売上と原価の食い違いとして残ります。在庫に含まれるグループの中の利益を消し損ねれば、利益が膨らみます。グループの中で買った資産に含まれる未実現の利益は、全額を消すからです。同第36項の定めです。
照合は地味な作業です。けれども、ここで合わない数字は、そのまま連結の利益の誤りになります。
次の期末も、いつもの差から確かめる
次の期末の照合でも、まず手をつけるのは、計上基準の違いで毎回差が出る会社です。
差を、計上基準の違いで説明できる額と、それ以外に分ける。それ以外がゼロになって、はじめてその会社の照合を終えます。いつもの差の中に、いつもと違う差が混じっていないか。それを確かめるのが、照合でいちばん手を抜けないところです。
