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USCPA試験は、どれだけ難しいのか。
私は2013年5月に勉強を始めました。1年6か月後の2014年11月に、全4科目に合格しています。仕事をしながらの受験です。
受験の経緯と中身を、合格後に記録として書き残したのがこの記事です。
2024年から、試験の形は変わっている
最初にお断りしておきます。私が受けたのは2014年の試験で、今とは形が違います。
2024年1月から、試験は必修の3科目と、選択の1科目になりました。必修は FAR(財務会計)、AUD(監査)、REG(税法・ビジネス法)です。選択は BAR、ISC、TCP の三つから一つを選びます。私が受けた BEC は廃止されました。
合格した科目の有効期限も、18か月から30か月に延びています。細かな規則は州ごとに違うので、出願する州の情報で確かめてください。
目指した理由は、前向きと後ろ向きの二つ
USCPAは、米国の公認会計士の資格です。日本の公認会計士(JCPA)と区別して、日本ではUSCPAと呼ばれます。
同じ会計士の資格でも、日本人がUSCPAを取る目的は、JCPAとは違います。
私には、前向きな理由と後ろ向きな理由がありました。前向きな理由は、「これからは海外や、グローバルに活躍するには必要や」でした。後ろ向きな理由は、当時の仕事から、できるだけ早く離れたかったことです。
監査の仕事をしたいとは思っていませんでした。監査を受ける側として、会計士の大変な働き方を知っていたからです。
受験を始めたときの手持ちは、日商簿記1級と、TOEICの800点台。経理の実務も、ひととおり積んでいました。振り返ると、この試験に挑む土台としては、ちょうどよかったと思います。
予備校は、単位のために選んだ
最初は独学で受けるつもりでした。ところが、出願に必要な単位が、大学で取った単位だけでは足りませんでした。
追加の単位は、予備校に入らないと取りにくい仕組みになっていました。どの予備校も米国の大学と提携していて、入学すれば単位が取れるからです。
単位さえ取れればよかったので、予備校は費用だけで選びました。いちばん安いところです。途中で「失敗したかな」と思ったこともあります。それでも、その予備校だけで合格している人は大勢いました。あとは自分次第だと言い聞かせて、勉強に専念しました。
教材は、予備校のテキストと問題集が中心です。問題はウェブ上で解く形でした。副教材として、Wiley 社の問題集を Kindle で買いました。ページ数が多いので、問題の部分だけを印刷して使いました。
かかった費用は、約83万円
費用は、この試験で最初に考えておくべきことです。ストレートで受かるつもりでも、試験は水物です。予算には余裕を持たせてください。
私の場合の概算は、次のとおりです。
- 予備校:30万2千円
- 副教材:3万円
- 単位の取得など:11万2千円(ドルで支払い)
- 受験料など:38万6千円(ドルで支払い、6回分)
- 合計:83万円
為替の影響もありました。最初の出願のときは1ドル100円でした。最後の受験のときには109円まで円安が進み、負担が増えました。経済的な余裕がないと、厳しい試験だと感じます。
勉強時間は、約1,250時間
平日の夜が中心でした。会社帰りにスターバックスに寄り、20時から23時ごろまで勉強する。これで、1週間におよそ13時間です。試験前の1か月は、休日にも時間を取り、1週間に10時間を足しました。
試験日は、いつも月曜日の午後にしていました。月曜に有給休暇を取り、前日から試験会場の近くのホテルに泊まって準備しました。
一度だけ、東京の会場で予約が取れなかったことがあります。新幹線で大阪まで行って受けましたが、その科目は落ちました。交通費と時間をかけても、受かるとは限りません。
厳密に記録していたわけではありませんが、計算するとこうなります。
- 78週(1年6か月)×13時間=1,014時間
- 24週(試験前の1か月×6回)×10時間=240時間
- 合計:1,254時間
予備校が示す目安の1,000〜1,500時間に、ちょうど収まりました。
科目ごとの手応え
FAR(財務会計)は、簿記1級があったので、英語の用語を覚えれば大丈夫でした。日本の簿記にない政府会計は、むしろ楽しめました。
AUD(監査)は、会計士の本業です。資格を取って恥をかかないように、という覚悟で臨みました。監査を受ける側の経験があったので、理解は早かったと思います。
BEC(ビジネス環境)は、経済学になじみがありました。大学が経済学部だったからです。心配していたライティングも、作文の型を覚えて対応できました。今の試験では、この科目はありません。
REG(税法・ビジネス法)は、範囲が広く、理解に時間がかかりました。分かったつもりでも、問題を解くと知識があやふやなことが多い科目でした。
ライセンスは、取らなかった
4科目に合格すると、ライセンスまで取るかという問題が出てきます。
受験を始めたときは、ライセンスはいらないと思っていました。それでも、合格したとたんに気になり、予備校に説明を聞きに行きました。
結論は、今すぐ取る必要はない、でした。私にとってのメリットは、名刺にUSCPAと書ける程度です。一方で、追加の単位などに約20万円かかり、取ったあとは更新料も要ります。メリットがコストに届かないと判断しました。
内定を、断った
事業会社の経理なら、この資格を取っても、特別なことができるわけではありません。海外に進出している会社なら、海外事業の部署に移りやすくなるかもしれない。その程度です。
合格後、転職活動をしてみました。東証一部(当時)の上場企業から、内定をいただきました。面接は3回。海外を含めて子会社が増えている会社でした。連結決算のチームに入ってほしい、というお話です。
直前まで、そこで働きたいと思って面接に臨んでいました。けれども、実際に内定が出ると、いろいろと考えてしまうものです。迷った末に、お断りしました。
受けるかどうか迷っている人に向けて、Kindle本を一冊書きました。『USCPAを受けるべきか、やめるべきか』(里見試の名前で出しています)です。
どれだけ難しいのか
USCPA試験は、どれだけ難しいのか。
簿記1級と実務の土台があれば、働きながらでも届く試験でした。1年半、1,250時間ほどです。けれども、その間に約83万円と、平日の夜のほとんどを使います。
仕事をしながらの受験は、周りの協力なしには続きませんでした。合格した科目より、支えてくれた人のことのほうを、今もよく覚えています。

