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人事の側の書き手が書いた、経理の本があります。楠木新氏の『経理部は見ている。』です。
2018年にこの本を読み、経理の側からの感想を書きました。あらためて読み返すと、タイトルの一言に、経理の役目が詰まっています。
経理部には、調べる権限がない
本書がまず示すのは、税務署と経理部の違いです。
税務署は、必要なら銀行や取引先に出向き、取引の中身を確かめます。いわゆる反面調査です。経理部には、そこまでの権限も強制力もありません。
見られていなければ、歯止めがなくなる
それでも、経理部が何も言わなくなれば、社員の使い方に歯止めがなくなります。
誰にも見られていない場で、いつも正しくお金を使い続けられるほど、人は強くない。本書のこの指摘が、タイトルの意味です。
人事の人が書いた、経理の本
著者の楠木氏は、人事・総務の側を歩んできた人です。経理部の事情は、自分で経験したことより、聞き取りをもとに書かれています。
それでも、会社という組織に通じた人です。経理部が社内でどう見られているかを、よくつかんでいます。経理の中にいる私にとっても、参考になることの多い本でした。
この本は、経理パーソンに勧める3冊の一つにも選んでいます。ほかの2冊は経理パーソンの必読書3冊に書きました。
見ていると、知らせる
読み終えて、あらためて確かめたことがあります。「経理部は見ている」と知らせること自体が、経理部の役目の一つだということです。
わかりにくい摘要の伝票を差し戻すのも、その一つです(伝票承認で見ているところ)。差し戻すときは、黙って直さずに、理由を一言添えて返す。見ていると知らせる、いちばん身近な方法だと思っています。

