人生は書きかけの黒板か?(白石一文「光のない海」)



大企業よりも中小企業の方が多い

日本では大企業よりも中小企業の数の方が圧倒的に多い。でも、大企業に勤めているとそのような感覚を持つことが少ないと思う。周りを見ても、いわゆる大企業に所属している人の方が多い。

中小企業の社長の人生

白石一文の「光のない海」は、中小企業の社長の人生を描いた小説だ。といっても、主人公の社長は朝からゆっくりコーヒーを入れたり、仕事のスケジュールを変更して、私的な用事をこなしており、今は悠々自適だ。大事な人との面会を1泊7万円のホテルのスイートルームでやるのは、どういうものなのだろうか。

試練や出逢い

先代の女性社長との関係を中心に、社長の人生にもまた試練や出逢いがあった。読んでいても、立場が違いすぎて感情移入はできないが、運命の不思議さや縁の有り無しは誰でも実感があるので、興味をもって読了することができた。

気に入った文章を紹介したい。

「私たちは一体何のために人生という長ったらしい物語を書き続けなくてはならないのだろうか?」

 

「私たちが紡ぐ、私たち自身の物語そのものが、その余計だったり決定的だったりする他人の一行によっていつも大きく捻じ曲げられてしまう。」

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