連結会計システムの移行でつまずいた。開始仕訳は、そのまま引き継がれるものだと思っていた

開始仕訳は、そのまま引き継がれるもの。

ずっと、そう思っていました。連結会計システムを移行したときに、それが思い込みだったと知りました。分かっていなかったのは、開始仕訳の「仕訳種別」の意味です。

簿記で習った開始仕訳

簿記で習う開始仕訳は、単純です。

前期までに切った連結修正仕訳を、当期の期首にもう一度切る。連結財務諸表は、毎期、個別の財務諸表を足して作り直します。だから、前期までの修正を当期首に入れ直す必要があるのです。そのとき、損益の科目は利益剰余金に置き換えます。

私も、そう覚えていました。前期の連結修正は、利益剰余金に置き換えて、全部そのまま翌期に引き継がれる。システムも、当然そう動くものだと思っていました。

システムでは、種別ごとに引き継ぎ方を決める

実際の連結会計システムは、そうなっていませんでした。

連結修正仕訳には、種別が付いています。種別ごとに、翌期の開始仕訳として自動で引き継ぐかどうかを設定できるのです。そのまま繰り越すものもあれば、洗い替えるものもあり、繰り越さない設定もできます。

移行のとき、私はこの種別の意味を分からないまま、仕訳を移そうとしていました。

引き継ぎ方は、修正の中身で変わる

考えてみれば、修正の中身によって、引き継ぎ方が違うのは自然なことです。

引き継ぎ方 中身 修正の例
そのまま繰り越す 前期までの修正を、毎期積み上げていく 投資と資本の消去、のれんの償却の累計
洗い替える 期首に前期の修正を戻し、期末に改めて作り直す 期末の在庫に含まれる未実現利益の消去
繰り越さない その期だけの修正で、翌期には持ち越さない 取引高の消去、期末の債権債務の消去

投資と資本の消去は、子会社を持っている限り、毎期そのまま引き継ぎます。在庫の未実現利益は、期首の在庫が売れれば実現します。だから期首に戻し、期末に作り直します。売上と仕入の消去は、その期の取引だけの話で、翌期に持ち越しません。

簿記の問題では、この違いを意識しなくても解けました。開始仕訳として与えられるのは、たいてい投資と資本の消去だったからです。

移行の前に、種別ごとの設定を一覧にする

この失敗から、システムを移すときに確かめることを決めました。

一つめは、移行先のシステムで、種別ごとの引き継ぎの設定を一覧にすることです。どの種別が繰り越し、どれが洗い替え、どれが繰り越さないのか。旧システムの設定と、一つずつ見比べます。

二つめは、移行後の最初の開始仕訳を、旧システムの前期末と突き合わせることです。繰り越すべきものが漏れていないか。繰り越さないはずのものが、残っていないか。利益剰余金の期首残高が、前期末と一致するかで確かめます。

開始仕訳は、そのまま引き継がれるのか

冒頭で、開始仕訳はそのまま引き継がれるものだと思っていた、と書きました。

簿記の答えとしては、間違いではありません。ただ、実務のシステムでは、何を引き継ぎ、何を作り直すかを自分で設定しています。設定を知らずに移すと、引き継ぐはずのものが消え、消えるはずのものが残ります。