ぶっちゃけ、経理の報告書って「紙を読むだけ」になっていませんか?
以前、村上春樹さんのインタビュー記事を読んで、グサッときた一節がありました。「今の政治家は自分の言葉で語ることが下手。総理大臣だって、紙に書いたことを読んでいるだけ」という話です。
笑えない。経理の世界にも、まったく同じことが起きています。
数字を並べるだけの報告は、伝えていない
月次決算の報告書を上司や経営陣に出すとき、こんな資料になっていませんか?
- 売上:〇〇円(前月比△%)
- 営業利益:〇〇円(前月比△%)
- 以上です
数字は正しい。でも「で、何が問題で、どうすればいいの?」という問いに答えていない。
つまり現場的には——数字を並べることは報告ではなく、報告の素材を渡しているだけです。経営者が本当に聞きたいのは「この数字が意味することは何か」「次に何をすべきか」です。
ミスを認める言葉が、信頼を作る
村上春樹さんのインタビューでもう一つ刺さったのが、「間違いをきちんと言葉で認めれば、国民は『これからちゃんとやってくれればいい』と思うはず」という部分です。
経理でも同じです。
処理ミスが発覚したとき、「数字の関係でご迷惑をおかけしました」という曖昧な言葉で濁す人と、「私が〇〇の確認を怠ったため、△△の誤りが生じました。再発防止として××を行います」と自分の言葉で言える人——どちらが信頼されるか、言うまでもありません。
私が経験した中で一番まずかったのは、ミスを報告するときに「システムの都合で」「前任者の処理が」という言葉を使ってしまったことです。上司に「で、あなたはどうすべきだったの?」と聞かれて、答えられなかった。あのときの沈黙は今でも覚えています。
「自分の言葉」で語れる経理パーソンは強い
報告書のテンプレートをそのまま埋めて出す。会議では資料を読み上げるだけ。質問されると「確認して折り返します」で終わる。
これは「紙に書いたことを読むだけ」と本質的に同じです。
自分の言葉で語るとはどういうことか。私が意識しているのは3つです。
① 数字の「背景」を一言添える
「売上が前月比10%減少しています」ではなく、「大口取引先Aの発注が止まったことが主因です」まで言う。
② 「私はこう判断しました」を主語にする
「この処理は〇〇基準によると××が適切と考え、このように処理しました」と自分の判断を明示する。曖昧な処理を「慣習でやっていました」で済ませない。
③ ミスは原因と再発防止をセットで報告する
「ミスがありました」で終わらせず、「なぜ起きたか」「次はどう防ぐか」を自分の言葉で説明する。
紙から目を上げて話す
「紙に書いたことを読むだけ」の報告は、数字という素材を渡しているだけです。経営者が待っているのは、その数字が何を意味し、次に何をするかという話でした。次の月次報告では、数字の背景を一言だけ、自分の言葉で足してみる。そこから始めれば十分です。
