新人のころ、建設仮勘定の精算を任されました。
工事が終わったら、建設仮勘定にためた支払いを、本来の科目に振り替える仕事です。そこで、建物附属設備と構築物の違いが分かっていませんでした。
どちらも、建物のまわりにある設備に見えます。けれども、科目が違えば、耐用年数が変わり、毎期の減価償却費が変わります。
建設仮勘定の精算とは
建物や設備を建てている間は、工事代金の支払いを建設仮勘定にためておきます。まだ使い始めていないので、減価償却もしません。
工事が終わり、使い始めたところで、建設仮勘定を本来の科目に振り替えます。建物、建物附属設備、構築物、機械装置。一つの工事の代金を、中身ごとに分けて振り替えるのが、精算の仕事です。
このとき、一つの工事の見積書に、いくつもの科目の中身が混ざっています。それを読み分けられなければ、正しく振り替えられません。
建物附属設備と、構築物の違い
建物附属設備は、建物に取り付けられて、建物の働きを支える設備です。電気の設備、給排水や衛生の設備、冷暖房の設備、エレベーターなどです。
構築物は、土地に定着している、建物以外の工作物です。駐車場の舗装、塀、門、看板、外構などです。
見分けるときの目安は、建物の中か外か、建物の働きに使うかどうかです。建物の中の配管や電気の配線は、建物附属設備。建物の外にある舗装や塀は、構築物。建物のまわりの工事は、この二つが一つの見積書に並んでいることがよくあります。
科目が違えば、耐用年数が違う
分け間違えると、何が困るのか。耐用年数です。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表で、例を比べます。
| 科目 | 中身の例 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 建物附属設備 | 給排水又は衛生設備及びガス設備 | 15年 |
| 構築物 | 舗装道路(アスファルト敷) | 10年 |
| 構築物 | 舗装道路(コンクリート敷) | 15年 |
同じ建物のまわりの工事でも、科目と中身で年数が変わります。科目を間違えれば、毎期の減価償却費がずれ続けます。
償却の方法は、2016年4月1日以後の取得なら、どちらも定額法です。法人税法施行令第48条の2の定めです。方法はそろっていても、年数の違いは残ります。
見積書の明細を、一行ずつ読む
この失敗から、精算のときに決めていることがあります。
工事の見積書や請求書の明細を、一行ずつ読むことです。合計の金額だけを見て、まとめて一つの科目に振り替えない。明細の工事が、建物の中か外か、何の働きをするものかを確かめて、科目に分けます。明細だけで分からないものは、工事の担当部署や施工業者に聞きます。
分けた結果は、固定資産の台帳にそのまま残ります。一度振り替えると、何年も減価償却が続きます。最初に分けるときの一手間が、その後の何年分の数字を決めます。
共通の費用は、どう分けるのか
それでも、迷うところが残ります。
設計の費用や、現場の管理の費用のように、どの設備にも共通してかかる費用です。建物、建物附属設備、構築物のどれに、どれだけ配ればよいのか。工事の金額の比で配るのか、別の基準で配るのか。答えは一つではありません。
