お賽銭のキャッシュレス決済は違法か?



日経新聞より

賽銭をサービスの対価とみなせるか否かの問題もある。資金決済法では、事前にスマホのアプリなどにお金をチャージする「前払い式」のキャッシュレス決済では、物品やサービスなど対価があるものしか購入できないと定めているからだ。

賽銭を神仏への願い事を聞く「代行サービス」と捉えるという考え方もあるが、キャッシュレス推進協議会(東京)の福田好郎事務局長は「賽銭に対価があるのか、法の解釈はまだ定まっていない」としている。

このため「ペイペイ」は賽銭をサービスの対象外にしている。京都府福知山市の海眼寺や和歌山県紀の川市の粉河寺はいったんペイペイを賽銭に導入したものの、規約に反することが判明し利用を取りやめた。オリガミペイは賽銭が少額であることなどを理由に「法的な問題はないと考えている」と説明している。

東京基督教大の櫻井圀郎元教授(宗教法学)は「宗教に絡む個人情報は厳格に守られるべきであり、キャッシュレス決済の導入には慎重な検討が必要だ」と指摘。国学院大大学院の新谷尚紀客員教授(民俗伝承学)は「いずれは手軽なキャッシュレス決済が広がるかもしれない。一方でお金に罪や汚れを託して投げ入れ、身を清めるという本来の意味を改めて考える良い機会になるだろう」と期待する。