千代田化工建設のリーガルオペレーションズの取り組みとは?



法務部門の改革

日本企業において、法務部門の改革が進んでいる。これは、企業全体の経営戦略の変化に合わせたものである。日本企業の事情を踏まえた組織見直しや、米国発祥の「リーガルオペレーションズ」を参考にした改革が進められている。

法務の役割再定義

具体的には、法務の役割再定義が進められている。例えば、契約審査の範囲を絞ることで、新規事業の対応に備える。また、法務機能を成長に結びつけるための専門チームの設置なども模索されている。

千代田化工建設の場合

この動きを進めている企業の一つに、石油化学などのプラント建設事業が売上高の9割を占める千代田化工建設がある。同社は、新規事業分野の利益比率を5割に高める目標を掲げており、法務部門も大きな変化が求められている。

新規事業への対応

具体的には、新規事業の中核は脱炭素関連事業で、契約審査の内容も外部との共同研究や他社への技術ライセンスに関するものが増えるとみられる。従来は、各国の石油・ガス会社などからのプラント設計や建設の請負契約のチェックが法務の業務の大半だったが、今後は新しい業務に対応する必要がある。

法務部門の担当範囲

このため、法務部門の担当範囲を整理することで、法務部門が複雑な案件に専念できる体制を整えている。また、法務の従来業務の一部を現場の技術者やグループ会社に任せることで、事業部門との法務知識の共有やマニュアル作成、新たな業務フローの構築が課題となっている。

リーガルオペレーションズ

これらの取り組みは、「リーガルオペレーションズ」と呼ばれる考え方に基づくものである。

リーガルオペレーションズは、企業の法務部門を、単なる法的な問題解決の場から、ビジネス戦略を支援するパートナーへと変革することを目指す考え方です。法務部門は、企業が適法かつリスクを最小限に抑えたビジネス活動を行うことを支援することが求められます。このために、法務部門は、企業経営の視点を持ち、ビジネス戦略に沿った支援を提供する必要があります。

リーガルオペレーションズは、企業の法務部門に求められる能力を再定義するとともに、企業にとっての法務部門の存在意義を再評価することが必要であると言えます。日本の企業も、従来の法務部門の枠組みを超えて、法務部門の改革を行うことで、ビジネス戦略に貢献する法務部門のパートナー化を目指し、新しいビジネスモデルを創出することが求められています。