【経理の50年】電卓からAIへ、それでも「経理」はなくならない理由とは?

【経理の50年】電卓からAIへ、それでも「経理」はなくならない理由とは?
「経理」と聞いて、電卓を叩く姿を想像する人は多いでしょう。しかし、この50年で経理業務は劇的に進化しました。かつては手作業で行っていた伝票処理や帳簿作成が、今ではAIやRPA(Robotic Process Automation)によって自動化されつつあります。
経理の進化:具体的なエピソード
私が新卒で経理部に入社した1990年代、月末は残業の嵐でした。請求書の束を前に、電卓を叩き、数字を帳簿に転記する日々。ミスがあれば、全てを手作業で修正しなければならず、徹夜も珍しくありませんでした。
それが今ではどうでしょう。AIが請求書の内容を読み取り、自動で仕訳を行います。RPAが銀行口座の入出金明細を自動で取得し、会計ソフトに入力します。月末の残業は激減し、経理担当者はより高度な分析や戦略立案に時間を割けるようになりました。
なぜ過去のやり方を知っておくべきか?
では、AIやRPAが進化した今、過去の経理のやり方を知る必要はあるのでしょうか?答えは「イエス」です。
自動化ツールは万能ではありません。例えば、AIが読み取れない手書きの請求書や、RPAが対応できないイレギュラーな取引も存在します。そんな時、過去のやり方を知っていれば、問題解決の糸口を見つけやすくなります。
また、過去のやり方を知ることで、現在の業務の効率化の余地が見えてきます。「なぜこの作業は手作業で行っているのか?」「このプロセスは本当に必要なのか?」と問い直すことで、さらなる自動化や業務改善の可能性が広がります。
AI・RPA時代でも経理業務はなくならない
AIやRPAの進化により、経理業務の一部は確かに自動化されました。しかし、だからといって経理業務がなくなるわけではありません。
経理の本質は、企業の経済活動を記録し、分析し、経営判断に役立つ情報を提供することです。AIやRPAは、このプロセスをサポートする強力なツールですが、最終的な判断や意思決定は人間が行う必要があります。
例えば、AIが不正の可能性を検知した場合、最終的な判断は経理担当者や経営者が行います。RPAが作成した財務諸表を分析し、経営戦略に活かすのも人間の役割です。
経理の未来:AI・RPAとの協働
AIやRPAは、経理担当者の仕事を奪うものではありません。むしろ、経理担当者がより高度な仕事に集中できるよう、サポートしてくれる存在です。
経理担当者は、AIやRPAを使いこなし、その能力を最大限に引き出す必要があります。同時に、AIやRPAでは対応できない業務や、人間ならではの判断が求められる業務に注力することで、経理の専門性と価値を高めていくことが重要です。
まとめ
経理業務は、この50年で大きく進化しました。しかし、過去のやり方を知ることは、現在の業務を理解し、未来の経理を創造するために不可欠です。AIやRPAを積極的に活用しながら、人間ならではの能力を発揮することで、経理はさらに進化していくでしょう。
そして、これからも経理業務は、企業経営において重要な役割を担い続けるはずです。