取引先から請求書をPDFで送りたいと言われたら、どう回答すべきか?



PDFでも法的には有効

取引先から請求書をPDFで送りたい言われました。取引先としては、印刷して郵送するコストを削減することが目的です。こういう場合、どのように回答すべきでしょうか。

もちろん、PDFで受け取っても法的には問題ありませんので、要望を受け入れることもできます。しかし、請求書をPDFで受け取る側としては、メリットよりもデメリットが大きいのではないでしょうか。以下、電子帳簿保存法に対応できるような受入体制が整備されていない企業を前提に考えます。

請求書をPDFで受け取る側のメリット・デメリット

基本的には、メール等で受け取ったPDFを印刷して紙で保存することになります。この作業は受け取る側の手間となります。一方で、PDFをそのままデータとして保存できるので、紙で送られてきた請求書をいちいちスキャンして保存する必要がなくなるのは便利でもあります。

請求書をすぐに受け取ることができるのはメリットです。月次で締まってから、請求書を発行する企業が多いと思いますが、郵送だと受け取るまでに数日かかります。とくに決算月は、受け取る側で費用を早く計上したいので、PDFだとすぐに受け取れるので助かります。

大きなデメリットは、PDFだと何度でも印刷ができてしまう点です。たくさんの請求書を受け取って伝票を起票する企業では、故意か過失かは別としても、2重に費用計上し、金額も2倍になって支払ってしまう可能性もあります。これを防ぐためのチェック体制はすぐには作れません。

また、PDFを自社の複合機で印刷した請求書は、通常通り郵送されてきた請求書を自社の複合機でコピーした請求書と区別するもの難しいです。

すべての取引先からの請求書がPDF化されるのは現時点で想定できない以上、どの企業から来る請求書がPDFなのか、いつからなったのか、などを情報として管理しておく必要もでてきます。

情報漏洩リスクもあります。請求書発行企業がメールアドレスを間違って入力してしまい、別の企業に送られてしまう可能性もあります。このような間違いは郵送でも発生する可能性はありますが、そもそも宛先・宛名が異なるので、確率は比較的低いはずです。PDFの場合、パスワード等で保護することもできますが、お互いのリテラシーが求められます。

まとめ

現在の商慣習では、請求書は紙で郵送するものとされています。だからこそ、PDFで請求書を発行したい企業としては、事前に受け取り側の許可を求めてきます。

もちろん、大事な取引先であるため、無下に断ってしまうことはできませんが、受け取り側の体制ができていないのも確かです。相手の要望を受け入れたことで、こちらの事務作業が増えてしまってはお互いに気持ちよくありません。そのため、どうして受け入れることができないのかという理由を明確に伝えることが大事です。

・当社のルールがあり、体制を整えるために時間が必要
・支払漏れや2重支払などのミスを発生させないため
・情報漏洩リスクを防ぐため