プロパティデータバンク株式会社の「事業等のリスク」を読んでみた

参照した有価証券報告書

会社名:プロパティデータバンク株式会社

事業年度:2018年3月期

提出日:2018年6月29日

「事業等のリスク」として記載している項目

項目名のみ抜粋。全文は本ページの下部に記載。

(1)事業内容に関するリスク

① クラウド市場の動向について
② 単一事業であることへのリスク
③ 競合他社の動向
④ 知的財産権
⑤ 情報管理と情報漏洩
⑥ システム障害
⑦ インターネットの通信インフラ環境
⑧ 技術革新への対応について
⑨ 事故や自然災害によるリスク
⑩ 顧客ニーズに応じたサービスの提供
⑪ システム開発プロジェクトの管理
⑫ 売上計上時期の期ずれについて
⑬ 経営成績の変動について
⑭ 法的規制について

(2)事業体制について
① 特定人物への依存
② 特定の外注先に依存していることについて
③ 小規模組織であることについて

(3)その他経営に関する事項
① 新株予約権の付与による株式価値の希薄化について
② 配当に関する政策

(4)主要株主である清水建設株式会社との関係について
① 清水建設グループ内の位置付け
② 清水建設株式会社との取引関係
③ 役員の兼務関係

リスクの特徴

プロパティデータバンク株式会社は2018年6月にマザーズに上場した会社です。

今後の成長性が期待されており、個人的にも注目している会社です。

プロパティ社の事業等のリスクは、とても事業内容に沿って丁寧に書かれていて好印象を持ちました。

ここを読むだけでも、会社に関した多くの情報が得られます。その中でも注目したのは以下の項目です。

(1)⑫ 売上計上時期の期ずれについて
(1)⑬ 経営成績の変動について

ソリューションサービスは、売上高が第4四半期会計期間に偏重する傾向があります。

というのも、受注先が新年度(4月)からのシステム運用開始を希望することが多いからです。

しかし、これは逆に、何らかの理由で検収が遅れた場合には、売上高が翌期の計上となる可能性があるということにもなります。

ご丁寧にも、四半期ごとの経営成績を表にして提示していて、読み手にとってもわかりやすいです。

(2)①特定人物への依存

プロパティ社の創設者は、社長の板谷敏正氏、副社長の高橋秀樹氏です。

二人はともに清水建設株式会社の社員で、2000年に社内ベンチャーとして会社を立ち上げました。

ここまで会社が成長できたのは2人の力ですが、今後は上場企業として組織だった経営体制の整備が求められます。

(4)主要株主である清水建設株式会社との関係について

清水建設株式会社は、発行済株式の24.9%を保有しています。

しかし、清水建設との取引に依存しているわけではありません。清水建設グループに対する売上高の割合は1.7%と予想以上に低い割合です。

まとめ

上場によって調達した資金の使途として、「IFRS第16号「リース」への対応」を挙げています。

不動産リースのオンバラ対応は、今後もっと注目されてくるはずです。

しばらくプロパティ社の動向を追っていきたいと思います。

全文

2【事業等のリスク】

当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

(1)事業内容に関するリスク

① クラウド市場の動向について

当社が事業を展開している国内パブリッククラウドサービス市場は、拡大基調にあり、今後もこの成長傾向は継続するものと見込んでおり、国内パブリッククラウドサービス市場を基盤とした事業を引き続き展開する計画であります。

しかしながら、今後、経済情勢や景気動向により国内パブリッククラウドサービス市場の成長が鈍化し、IT投資の動向が減退するような場合は当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 単一事業であることへのリスク

当社の事業は、資産・施設・不動産に関する業務を一元的に管理する統合資産管理クラウドサービス「@プロパティ」を提供する単一の事業です。「@プロパティ」の改善・進化に全経営資源を集中することにより資産・施設・不動産管理業務の習熟、ソフトウエアの更新を可能にし、“進化するサービス”の提供を実現しています。

しかしながら単一の事業であるため、事業環境の変化、競争の激化等により、「@プロパティ」の成長に何らかの問題が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 競合他社の動向

当社よりも資金力、ブランド力を有する企業の参入や全く新しいコンセプト及び技術を活用したシステムを開発した企業が出現した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 知的財産権

当社は商標権等の知的財産権及び当社に付与されたライセンスの保護を図っております。しかしながら、当社が使用する技術・コンテンツ等について、知的財産権等の侵害を主張された場合、当該主張に対する対応や紛争の解決のための費用などの損害が発生する可能性があります。前記のような理由で、将来当社の特定コンテンツやサービスの提供または特定の技術の利用に制限が課せられた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 情報管理と情報漏洩

当社は顧客情報、業務上知り得た個人情報や役員及び従業員の個人情報等その重要性について全社を挙げて十分に認識し、情報セキュリティマネジメント活動(ISO27001 認証取得)を推進するとともに情報資産の保護とセキュリティレベルの維持向上を図っております。更に、当社のホームページにて個人情報保護方針を公開し、教育、研修を通じて個人情報管理の基盤を強固にしております。しかしながら、情報の収集や管理の過程等において不測の事態により顧客情報の漏洩等が発生した場合、当社への損害賠償請求が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ システム障害

当社は、信頼性を備えた機器の多重化や東京・大阪・福岡のデータセンターの三拠点化によりシステム障害への対策を実施したシステム基盤を整えております。しかしながら、システム障害が発生した場合、一時的なサービスの提供の停止などの事態も想定され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ インターネットの通信インフラ環境

 当社サービスの「@プロパティ」はクラウドの特性上、インターネットを経由し提供されており、通信インフラ環境に依存しております。安定的なサービス提供のために社内体制整備、サーバー設備強化等を行っておりますが、通信インフラ環境にトラブルが発生し通信速度の低下や通信不能となった場合、当社の事業に制約が生じることとなり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 技術革新への対応について

インターネット関連分野は、新技術の開発が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。このため、技術革新に対する対応が遅れた場合、当社の競争力が低下し、結果として当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 事故や自然災害によるリスク

当社では、「@プロパティ」の顧客データを東京・大阪・福岡の三つのデータセンターに置き、サービスとデータの相互バックアップを行うことにより事故や自然災害時にもサービスを継続する体制を構築しております。しかしながら、三つのデータセンターが同時に機能停止した場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。また、当社の事業所は東京の一箇所であり、首都圏で地震や津波等の自然災害や事故、火災、テロが発生し、損害を被った場合、事業活動の継続に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 顧客ニーズに応じたサービスの提供

当社サービスはクラウドサービスの強みを生かし、顧客のニーズを常に捕捉し機能の改善・進化を図っております。しかしながら、顧客の期待どおりのサービスの改善・進化が行われなかった場合、売上高が減少し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ システム開発プロジェクトの管理

当社のシステム開発プロジェクトは想定される工数をもとに見積りを作成し管理をしておりますが、見積りの誤りや作業の遅れ等により超過コストが発生し、プロジェクトの採算悪化や検収遅延等により売上計上や代金回収の遅れが発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 売上計上時期の期ずれについて

当社のソリューションサービスにおいては、受注したプロジェクトの規模や内容が予想と乖離し、納品時期が変更となり、その結果売上計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする場合があります。期ずれした金額の大きさによっては各四半期あるいは事業年度における当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 経営成績の変動について

当社のソリューションサービスにおいては、受注先の新年度(4月)からのシステム運用開始の傾向から、他の四半期に比べ売上高が第4四半期会計期間に偏重する傾向があります。そのため、何らかの理由で検収の遅延が発生した場合、売上高が翌期の計上となる可能性があり、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、第17期事業年度及び第18期事業年度における四半期別の売上高及び営業利益の構成は、次のとおりであります。

第17期事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

第1四半期

会計期間

(4-6月)

第2四半期

会計期間

(7-9月)

第3四半期

会計期間

(10-12月)

第4四半期

会計期間

(1-3月)

通期
売上高(千円) 223,931 240,937 282,100 334,914 1,081,884
営業利益(千円) 7,881 24,348 38,949 70,447 141,627

第18期事業年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

第1四半期

会計期間

(4-6月)

第2四半期

会計期間

(7-9月)

第3四半期

会計期間

(10-12月)

第4四半期

会計期間

(1-3月)

通期
売上高(千円) 253,245 301,662 296,266 388,719 1,239,893
営業利益(千円) 26,024 71,924 46,407 92,503 236,859

(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.第17期の各四半期会計期間の数値は新日本有限責任監査法人による四半期レビューを受けておりません。

⑭ 法的規制について

当社主要事業が属するクラウドサービス分野では、総務省より「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」が公表され、「ASP・SaaS安全・信頼性に関する情報開示認定制度」が創設されております。当社は、情報セキュリティ対策ガイドラインによる情報セキュリティの確保に努めたことにより平成20年に同制度の認定を取得しました。また、「データセンターの安全性・信頼性に係る情報開示指針」に準拠した情報開示に基づきデータセンターを選定しております。しかし、クラウドサービス分野やインターネットを規制対象とする法令等の改正があった場合、事業が規制され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)事業体制について

① 特定人物への依存

当社代表取締役社長である板谷敏正並びに取締役副社長である高橋秀樹は、当社の創設者であり、会社経営の最高責任者として経営方針や事業方針の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしております。

当社は、板谷敏正並びに高橋秀樹に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役会や経営会議等において役員及び従業員への権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により板谷敏正並びに高橋秀樹が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 特定の外注先に依存していることについて

当社は、当社サービス「@プロパティ」の機能強化や顧客カスタマイズ等のシステム開発を外部に委託しています。このうち委託先である株式会社パラダイム・システムズにつきましては、平成30年3月期において、当社の外部委託(製造原価及びソフトウェア開発における外注加工費)全体の約90%を占め、同社に依存しております。当社としましては、同社との資本的関係の強化により、社内スタッフによる開発ノウハウの蓄積・継承及び標準性を確保した開発の推進を実現すべく検討を行っています。併せて徐々に新たなベンダーへの委託割合を高め、委託先の複数化も図っております。

しかしながら、現在は同社への依存率は高く、何らかの事情による取引停止等によりシステム開発が不可能となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 小規模組織であることについて

当社は、平成30年5月31日現在、取締役7名(うち監査等委員3名)、従業員54名と小規模組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構成しております。当社は、今後の業容拡大及び事業内容の多様化に対応するため、人員の増強、内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進まなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)その他経営に関する事項

① 新株予約権の付与による株式価値の希薄化について

当社は、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、当社の業績向上に対する役員及び従業員の就業意欲を一層高めること等を目的として、新株予約権を発行しております。当社は、前記目的のもと、今後も役員及び従業員に対して新株予約権の付与を行うことを検討しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は34,300株あり、発行済株式総数の1.8%に相当しております。

② 配当に関する政策

当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題の一つとして位置付けております。当社は現在、成長過程にあると考えており、そのため内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業の拡大のための投資等に充当し、なお一層の業容拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。このことから当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

(4)主要株主である清水建設株式会社との関係について

① 清水建設グループ内の位置付け

清水建設株式会社は、本書提出日現在、当社発行済株式の24.9%を保有しており、当社のその他の関係会社に該当いたします。

当社は清水建設株式会社の持分法適用関連会社であり、清水建設株式会社を構成するグループ(以下、「清水建設グループ」という。)においてサービス関連事業と位置付けられております。なお、清水建設株式会社は、当社と同様の事業は行っておりません。

② 清水建設株式会社との取引関係

平成30年3月期における清水建設株式会社との取引の内容は以下のとおりです。

営業取引の状況

清水建設株式会社に対する売上高の割合は0.8%であります。同社の子会社等を含めた清水建設グループに対する売上高の割合は1.7%であります。この他に、清水建設グループの会社から事務用品の購入等の取引がありますが、販売費及び一般管理費に対する割合は僅少であります。

これらの取引条件については、一般ユーザーと同様の条件となっております。

③ 役員の兼務関係

当社は、清水建設株式会社より、本書提出日現在、監査等委員である取締役1名を招聘しております。同氏は、当社事業に関する知見を有し、経営全般に優れた見識を兼ね備えているものと当社は判断しており、経営に関する助言を得ることを目的として、当社が招聘したものであります。