「CFOになりたい」と口にしたとき、先輩に「で、今の仕事はちゃんとできてるの?」と返されました。
当時は少しムッとしましたが、今は正しかったと思っています。
CFOとは何をする人か
CFOは「最高財務責任者」という肩書きですが、実態は「数字で経営判断をする人」です。財務・経理・資金調達・IRをまとめながら、経営陣の一員として会社の方向性に責任を持ちます。
経理部長の延長線上にある役職ですが、求められることは別物です。経理は「正確に記録する」仕事、CFOは「数字を使って意思決定する」仕事です。
経理のスキルだけでは届かない
正直に言うと、経理を極めてもCFOにはなれません。
私がそれを感じたのは、ある経営会議に同席したときです。CFOが資金繰りについて大胆な提案をしていて、数字の根拠はもちろん、リスクシナリオ、競合他社の動向、経営陣の意思決定プロセスまで全部織り込んでいました。あの瞬間、「仕訳が速い」とはまったく別の世界があると実感しました。
CFOに近づくには、経理の外に出る経験が必要です。M&Aの検討、資金調達、経営企画との連携、事業部門との交渉——数字の背景にある「事業」を理解することが不可欠です。
経理パーソンが今やるべきこと
だからといって、今の仕事をおろそかにするのは逆効果です。
経理の信頼は、地味な正確さの積み重ねで作られます。決算を確実に締める、税務リスクを早めに拾う、内部統制を機能させる——これができない人が、CFOとして財務全体を任されることはありません。
同時に、視野を広げる動きも必要です。ITツールの習得(RPAやクラウド会計)、財務モデルの構築、プレゼンテーションスキル——「数字を作る人」から「数字で伝える人」へのシフトを意識しました。
「伝える力」が意外と決定的
CFOに必要なスキルで見落とされがちなのが、コミュニケーション能力です。
経営陣に財務報告するとき、「今期の営業利益は○○円です」だけでは機能しません。「この数字が意味することは何か、来期の戦略にどう影響するか」を語れないと、CFOとしての存在価値がありません。
私が意識するようになったのは、「数字を報告するのではなく、数字でストーリーを話す」という視点です。それだけで、同じ資料でも経営陣の反応がまったく変わります。
まとめ
✅ CFOは「数字で経営判断をする人」——経理部長とは別物
✅ 経理の外の経験(M&A・資金調達・経営企画)が不可欠
✅ 地道な経理の信頼が、すべての土台になる
✅ 「数字で伝える力」が、経理とCFOを分ける壁
先輩の「今の仕事はちゃんとできてるの?」は、CFOへの道の入口でもありました。

