教科書には書いてあるけど、実務だと全然違う——そんなこと、ありませんか?
プロフィットモデルはまさにそれです。「利益の仕組み」という言葉だけ聞くと難しそうですが、身近なところに転がっています。先日、久しぶりに遊園地に行って、記念写真を売られたときに「あ、これ経理の話だな」と思いました。
ジェットコースターを降りると、もう写真が売っている
ジェットコースターを降りると、出口付近に自分の写真が並んでいます。乗っている途中に撮影されて、降りてきたときにはもう印刷されている。あの速さには毎回少し驚きます。
値段は1枚1,000円。特製の台紙付きとはいえ、正直「高いな」と思います。コンビニでLサイズ1枚30円で印刷できる時代に、なぜ1,000円なのか。
経理パーソンとして気になったのは、その値付けの裏側です。
1,000円の内訳を考えてみる
買われなかった写真も含めて、全部印刷して並べています。つまり、売れなかった写真の印刷コストも、買った人が負担しているわけです。
つまり現場的には——1,000円の中には、売れなかった写真のコストが含まれている。
| コスト | 内容 |
|---|---|
| 撮影・印刷コスト | 全員分の写真を印刷する費用 |
| 買われなかった写真のロス | 売れ残り分のコストを価格に転嫁 |
| 台紙・ディスプレイ | 見せ方のコスト |
写真データはもらえない。台紙はもらえる。この設計も、「データを渡してしまうと印刷物が売れなくなる」という判断からきています。
「どこで儲けるか」を変えると、まったく別のビジネスになる
ここからが本題です。山口揚平さんの著書『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』の中で紹介されているプロフィットモデルという考え方があります。
「同じ商品・サービスでも、どこで利益を取るかによって、ビジネスの形がまったく変わる」という話です。
遊園地の記念写真に当てはめると、こうなります。
| モデル | 内容 |
|---|---|
| 現行モデル | 印刷物を1,000円で売る |
| データ販売モデル | 写真データをアプリで安く販売、印刷は自分でやってもらう |
| SNS活用モデル | 写真を無料で共有できる仕組みを作り、話題・集客で回収する |
| サブスク モデル | 年間パスに「写真撮り放題」を含める |
同じ「写真を撮る」というバリュー(価値)を提供していても、どこで利益を回収するかの設計次第で、まったく別のビジネスになるわけです。
経理パーソンとして、この話から学べること
「プロフィットモデルなんて経営者の話でしょ」——そう思いますよね。
でも経理パーソンがこの視点を持つと、数字の読み方が変わります。
たとえば「なぜこの商品は利益率が低いのに、会社全体では儲かっているのか」という問いに答えられるようになります。フロントの商品で薄利にして、バックエンドで回収するモデル——プリンターが安くてインクが高いのも同じ発想です。
つまり現場的には——売上や原価の数字を追うだけでなく、「どこで利益を取る設計になっているか」を理解すると、経理の仕事の解像度が上がります。
次に記念写真を差し出されたら
記念写真の1,000円には、売れずに終わった写真のコストまで含まれていました。同じ見方で自社の商品を眺めると、どこで利益を取る設計になっているのかが見えてきます。利益率の低い商品が、なぜ売り場から消えないのか。その答えも、たいていこの設計の中にあります。

