株式会社セリアの「事業等のリスク」を読んでみた

参照した有価証券報告書

会社名:株式会社セリア

事業年度:2018年3月期(第31期)

提出日:2018年6月22日

「事業等のリスク」として記載している項目

項目名のみ抜粋。全文は本ページの下部に記載。

  1. 出店に係る法的規制
  2. 出店環境
  3. 貸倒損失(貸倒引当金繰入)
  4. 商品在庫
  5. 為替相場及び商品市況の変動
  6. 固定資産の減損
  7. 災害等の発生

リスクの特徴

7つのリスク項目のうち、特徴的なものは1~4です。

100円ショップ運営というビジネスですので、出店に関連するものが多くなっています。

出店に係る法的規制

現在はすべての店舗が1,000㎡未満であるため、「大店法」による規制を受けていないが、将来発生する可能性があることを記載しています。

そもそも、セリアの出店形態は、「インショップ常設展」「商業集積施設テナント」「ロードサイド独立店」の3つに分けられます。

このうち、「ロードサイド独立店」は、何かの店舗の跡地を利用する形ですので、場合によっては1,000㎡以上となる可能性もあるということでしょう。

出店環境

セリアの店舗はすべて賃借物件です。土地の取得は行っていません。

したがって、賃貸人すなわち物件のオーナーの都合に左右されてしまうということです。賃料や賃借期間等の変更があれば、採算性に影響が出てしまいます。

商業施設であれば、他のテナントの入れ替えが生じることで、集客にも影響が出ます。これらは、確かにリスクとなります。

商品在庫

セリアでは、最新のPOSシステムを導入して、在庫管理を行っています。

また、欠品防止や回転率の向上を向けて、商品の取り扱いアイテム数を約2万点に定めています。

商品アイテム数を2万点に絞ったうえで、月間500アイテム程度を入れ替えることで、消費者に飽きられないように工夫しているとのことです。

確かに100円ショップに行くと、ありとあらゆる商品がたくさん並んでいます。なかには、ほとんど売れないと思われるものもあります。

まとめ

100円ショップのセリアは、直営・FC店を含めて、2018年3月末現在で1506店あります。この1年間では、出店数が151店、退店数が69店でした。

100円ショップのビジネスは、商品そのものよりも、いかに店舗数を増やしていくかが重要ととなります。

したがって、事業等のリスクも、出店に関するものが特徴的な記載となります。

全文

【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)出店に係る法的規制

当社における100円ショップ専門店の出店政策として、対象地域は全国で、出店地域における商圏等を考慮して「インショップ常設店」「商業集積施設テナント」及び「ロードサイド独立店」の3つのタイプで出店しております。当社の現在の店舗又は今後出店を予定している店舗はすべて1,000㎡未満であり、「大規模小売店舗立地法」による規制を受けておりません。しかしながら、当社における出店形態のうちロードサイド独立店については、様々な業界のオーバーストアによって退店した跡地に賃借して出店する方法を主に採用しており、将来発生する物件の中には同法による規制を受ける可能性があり、当社の出店計画及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

また、インショップ常設店及び商業集積施設テナントが入居する商業施設は同法による規制を受けており、間接的にではありますが、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

(2)出店環境

当社は出店に際し、個別店舗の採算を重視した政策をとっており、既存店舗の退店等、不採算店舗の見直しを随時行ってきました。しかしながら、業界の垣根を越えた競争は一段と激化してきており、当社の店舗においても今まで以上に戦略的及び積極的な店舗展開が必要であると考えております。

具体的には出店地域、商圏分析、出店タイプ、投資収益性等の開発戦略に基づく出店規模の拡大や、契約内容・条件、採算性に基づく退店であります。

また、当社の店舗はすべて賃借物件であり、現段階では、土地の取得を伴う出店は行っておりません。

したがいまして、当社の店舗政策及び計画に対して、出店条件に合致する物件が不足した場合や、出店先である大手スーパー等のテナントの入れ替え、又は商業施設の閉鎖等により退店を余儀なくされる場合には、当初の出店計画を達成することが不可能となり、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があることや、新規出店に係る投資割合が、新規出店による売上高増加割合を上回る場合には、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

(3)貸倒損失(貸倒引当金繰入)

当社は、出店に際し家主に対し敷金保証金の差入を行い、また一部の店舗では売上金についてディベロッパー等への預け金としております。さらに、FC店舗及び大口顧客に対しては掛売による取引を行っております。

当社は、これらの取引先の信用状態の変化には注意を払いながら取引を行っておりますが、取引先の予期せぬ破綻等により貸倒損失が発生するおそれがあります。また、貸倒実績率に基づき貸倒引当金を計上しておりますが、取引先の信用状況が悪化した場合、個別に貸倒引当金を計上することがあります。

このように、取引先の予期せぬ破綻、信用状況悪化によっては当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

(4)商品在庫

当社の商品在庫は、積極的な店舗展開による店舗の増加に伴い増加する傾向にあり、今後についても、当社は出店の拡大及び売場面積の拡大を図る計画であることから、商品在庫は一層増加していく予定であります。

当社は、最新のインターネット技術を活用したリアルタイムPOSシステムを中核とした商品管理システムを構築し、商品の販売動向、在庫の推移等の全社的なデータ管理により、欠品防止や商品回転率の向上に努めております。また、取扱アイテム数の増加に伴う欠品率の上昇や仕入の難しさ等から取扱アイテム数は約20,000点と定め、常に消費者に飽きられないための工夫として月間500から700アイテムを入れ替え、旧来の類似商品を廃止する等、消費者ニーズや購買動向にも留意しております。

しかしながら、今後の消費者ニーズ、購買動向等の変化により、滞留在庫が発生する可能性もあり、そのような場合には当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

(5)為替相場及び商品市況の変動

当社は取扱商品のほとんどを、国内のメーカー、ベンダーから調達しており、外貨建仕入の割合は僅少であるため、為替相場の変動が及ぼす直接的な影響は限定的であります。しかしながら、国内メーカー、ベンダーは多くの原材料、商品等を海外から輸入しているため、為替相場変動の影響は、間接的にタイムラグを伴って、当社の業績に影響を与える可能性があります。

また、商品市況、とりわけ原油価格の動向によってプラスチック製品等石油を原材料とする商品を主として、幅広い商品の仕入価格、物流費、光熱費等を通して、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

(6)固定資産の減損

当社は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、毎期、固定資産の価値を計測しております。したがって、固定資産の価値が下落した場合、減損損失を計上するため、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

(7)災害等の発生

自然災害、その他突発的な事故等により、店舗・施設等の物理的な損害、停電、通信ネットワークの途絶、物流網の遮断等が生じ、円滑な営業活動が阻害された場合、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。